杉並事件を考える会 シンポジウムのお知らせ

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シンポジウム 里親家庭の虐待を考える
〜里親家庭で子どもと里親が幸せになるために〜


 2010年8月24日、東京都杉並区の里親に委託された3歳の女の子が死亡するという痛ましい事故があり、1年後の2011年8月20日、里母が傷害致死容疑で逮捕、起訴(9月9日)されました。近々、裁判員裁判の初公判が行われるとみられます。
 里親家庭における虐待死などの死亡事件は、明らかになっているだけでも、栃木県宇都宮市の3歳女児虐待死事件(2002年11月)、千葉県佐倉市の1歳男児の揺さぶり症候群による死亡事件(2006年3月)、今回の杉並事件と、4年ごとに起きています。
 どの里親も、子どもを虐待するつもりで里親になるわけでないと思います。子どもが好きで、子育てをしたいとの思いから里親になります。その里親が、なぜ子どもを死なせるまでに追いつめられるのでしょうか。
 杉並事件の真相に迫るとともに、愛着障害や発達障害の子どもを養育するときの課題や、現在の里親制度の問題点などを、専門家の意見をお聞きして学ぶとともに、「このような事件が二度と起きないためにできること」について、参加者全員で考えていきたいと思います。


主  催  杉並事件を考える会
日  時  2012年2月19日(日)9時〜17時
会  場  こども教育宝仙大学 大学4号館
       〒164-8631 東京都中野区中央2-33-26
アクセス  中野坂上駅(東京メトロ丸ノ内線・都営大江戸線)地下鉄A2出口徒歩5分
参 加 費  1,000円  学生500円 
申 込 み  当日会場へ直接おいで下さい。(先着200名)
保  育  10名程度 事前に保護者氏名・連絡先(電話番号)
       子どもの名前・年齢・性別をメールでお申し込みください。
      mailto:suginami.jiken@gmail.com
問 合 せ  杉並事件を考える会 Mail suginami.jiken@gmail.com
呼掛け人  前田信一(こども教育宝仙大学専任講師)、
西川公明(親が育てられない子どもを家庭に!里親連絡会・川崎市養育里親)


                     開催趣旨

 2009年12月18日の国連総会で決議された「児童の代替的養護に関する国連指針」では、「幼い児童、特に3歳未満の児童の代替的養護は家庭を基本とした環境で提供されるべきである」としています。
 また、国連の「児童に関する暴力の報告書(UN World Report on Violence Against Children 2006)」では、「3歳以下の乳幼児の施設集団ケアは国家による子どもへの暴力である」と提言しています。
 さらに、EUにおける施設養育が乳幼児に与える影響についての学術調査研究では、2,624の論文を総括し、「乳幼児期の施設養育は子どもの発達のすべての領域に害を及ぼすことが示唆されている」と結論付けています。
 先進国で3歳以下の乳幼児を施設入所させている国は日本だけです。2010年の厚生労働省調査では、親の育てられない3歳未満の乳幼児2,185名の内、里親に委託されたのは273名(12.5%)のみであり、残りはすべて乳児院に入所しています。
 愛着障害や発達障害の子どもの養育は、大変難しく、正しい知識や適切なサポートがなければ、虐待につながりかねません。
 今回、愛着障害や発達障害がご専門で、多くの虐待された子どもたちの臨床を重ねておられる杉山登志郎先生(浜松医科大学特任教授)に、「愛着障害・発達障害からみた里親養育の課題」についてお話しいただけることになりました。
 また、日本の里親制度の問題点については、津崎哲雄先生(京都府立大学教授)から話していただけることになりました。
 さらに、杉並事件の取材を精力的に続け、ルポも執筆された(保育月刊誌「ちいさいなかま」、週刊誌「週刊金曜日」)小宮純一氏(フリージャーナリスト・元埼玉新聞記者)から、「杉並事件の真相に迫る」と題した取材報告もあります。
 これらの講演、報告の後で、里親家庭における虐待を防ぐためになにができるのか、参加者の皆さまと一緒に考えていきたいと思います。ぜひ、ご参加くださるようお願いいたします。

                     プログラム
8:30 開場
9:00 開会
    取材報告「杉並事件の真相に迫る」
      小宮純一氏(フリージャーナリスト・元埼玉新聞記者)
    講演1「愛着障害・発達障害からみた里親養育の課題」
      杉山登志郎氏(浜松医科大学特任教授)
12:00 昼休み
13:00 講演2「里親家庭の虐待から見る日本の里親制度の問題」
      津崎哲雄氏(京都府立大学教授)
    パネルディスカッション
      「里親家庭における虐待死を防ぐためにできること」
    参加者との意見交換
17:00 閉会

(参考)
   

子ども虐待という第四の発達障害

学研のヒューマンケアブックス

杉山 登志郎 () 1,785

虐待された子どもたちは心だけでなく、脳の発達にも障害が生じるという。そのために例えば自閉症児と極めて似た症状や問題行動に苦しむ子どももいる。著者は多くの重篤な被虐待児の治療にかかわる中、このような精神医学的知見に達した。これは子ども虐待と発達障害の関係を探るという今日的な緊急課題でもある。この分野の世界的な研究者で臨床医である杉山登志郎先生が臨床例や研究から分かりやすく紹介する。

(BOOK」データベースより)
 

この国の子どもたち

要保護児童社会的養護の日本的構築
−大人の既得権益と子どもの福祉−

津崎 哲雄() 日本加除出版 (2009/03)2,625

日本では、親が育てられない子どもの1割が里親家庭で生活し、残りの9割の子どもは、乳児院・児童養護施設で生活をしている。この施設優先の日本の施策は、子ども

の権利条約第20条の「子どもの家庭で育つ権利」に違反するとして、国連子どもの権利委員会からも勧告を受けている。 なぜ、日本で里親委託が進まないのか。筆者は、それを「大人の既得権益」のためであるという。日本社会が「最も社会的に弱い構成員」をどのように扱っているのか知りたければ、乳児院・児童養護施設の子どもたちへの扱いを見ればいいという。(アマゾンブックレビューより) 
   

ちいさいひと 青葉児童相談所物語1

少年サンデーコミックス、夾竹桃ジン()
水野光博()、小宮純一(著、企画・原案)

\440  小学館

児童虐待の闇に迫る真剣ドラマシリーズ!!

増え続ける児童虐待。すべての子どもたちの幸せのため、駆け出し児童福祉司の相川健太は今日も奮闘する! サンデーでのシリーズ連載開始以来、大きな反

響を呼んだ真剣ドラマシリーズが、ついに単行本化!! その命を救うため、その笑顔を取り戻すため、日々戦う大人たちがここにいる!

【編集担当からのおすすめ情報】 サンデーでのシリーズ連載開始以来、単行本化を望む声を多くいただきました。これから親になる少年少女にもぜひ読んでほしい一冊です(アマゾンブックレビューより)
 

杉並事件を考える会とは?

昨年、杉並区の里母が傷害致死容疑で逮捕されたことをうけ、9月11日に有志で緊急集会を開催しました。その時に集まったメンバーを中心に、「二度とこのような事件を起こさないために、里親と委託される子どもの抱える問題、それらを支援する体制について話し合う」ことを目的として、月に一回勉強会を開催しています。

勉強会への参加を希望される方は、事務局までメールでお知らせください。折り返し、日程と開催場所をお知らせいたします。

mailto:suginami.jiken@gmail.com



乳幼児が施設養育で損なわれる危険性−EUにおける乳幼児の脱施設養育施策の理論と方策−

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